2024/10/31 10:53
近年、人間において腸内細菌の多様性が、健康と大きく関わっていることがよく知られるようになりました。「腸は第二の脳」とも呼ばれていて、腸の機能が体全体に影響を与えていることがわかっています。
特にいわゆる「免疫力」と呼ばれる機能には特に密接に関係していて、人間では、体の免疫に関係する細胞の約70%から80%が腸に存在し、その免疫細胞の調節に腸内細菌が大きく関わっていていることが知られています。人間の病気では、潰瘍性大腸炎やクローン病といった腸に病変が見られる病気のほか、直接腸とは関係のない肥満や動脈硬化、アレルギー、糖尿病、がん(腸管以外もガンも含む)、リウマチ、認知症などの病気と腸内細菌の関係性について多くの報告がされています。
ワンちゃんに関する研究報告はヒトほど多くありませんが、アトピー性皮膚炎の子にケストース(オリゴ糖の一種で腸内細菌のエサとなるプレバイオティクスとして働きいわゆる”善玉菌”のみを増やす)を与えると、皮膚スコアが改善したり乳酸菌の一種を与えることでアトピーの治療薬を減量、休薬できたという論文や乳酸菌を摂取することで抗酸化力が上がったという論文報告があります。他にも腸内細菌と病気との関係性を示唆する報告はたくさんあり、おそらく人間と同じように腸内細菌が病気に影響を与えている可能性は十分あり、ヒトと同様に様々な病気の予防や改善に効果があることが期待されます。
良い腸内環境は、腸内細菌の多様性といわれています。今回は、犬の腸内細菌の多様性と健康との関わりについて解説します。
犬の腸内環境の多様性と健康の関係
犬の健康にとって理想的な腸内環境は、豊富な種類の腸内細菌がバランス良く住んでいる状態です。「犬の腸内環境の多様性※1が高いほど健康度※2が高い」ことがわかっています。
※1 腸内環境の多様性:「Shannon Index」という指標を用いて表現した腸内細菌の多様性をいいます。
(N=76,540/対象期間:2019年7月~2022年4月)
「腸内環境の多様性が高ければ健康度も高い」という結果は、犬種や年齢ごとに分けても同様でした。つまり、どんな犬種や年齢でも腸内細菌の多様性と健康には関係があることを示しています。
犬の腸内には、健康に良い影響を与える「善玉菌」、増えると健康に害を与える「悪玉菌」、どちらの働きもある「日和見菌」、大きく分けて3つの菌がすんでいます。犬の健康にとってこれら3つの菌のバランスが大切であり、とくに「善玉菌」が優位に働くような腸内環境に整えてあげることがよいとされています。
最近の研究から…新たな治療法の可能性!!腸内細菌叢とアトピー(アレルギー)
ヒトでもアトピーについては根本治療がなく多くの方が悩んでいる疾患です。多くの研究が行われており、最近では、腸内細菌叢とアレルギーが関連しているとの報告が多数あります。
「腸は第二の脳」とも呼ばれていて、腸の機能が体全体に影響を与えていることがわかっています。※1,2
特にいわゆる「免疫力」と呼ばれる機能には特に密接に関係していて、人間では、体の免疫に関係する細胞の約70%から80%が腸に存在し、その免疫細胞の調節に腸内細菌が大きく関わっていていることが知られています。人間の病気では、潰瘍性大腸炎やクローン病といった腸に病変が見られる病気のほか、直接腸とは関係のない肥満や動脈硬化、アレルギー、糖尿病、がん(腸管以外もガンも含む)、リウマチ、認知症などの病気と腸内細菌の関係性について多くの報告がされています。
一例として、写真はFK-23という乳酸菌死菌株を摂取したアトピーのワンちゃんの写真です。
眼の周り(アトピーの病変は粘膜から皮膚の移行部にでることが多いので眼の周りは出やすい場所です)の黒くなった部分が良化しています。
犬に関する研究報告はまだ人間ほど多くありませんが、科学的に証明された効果がいくつか発表されています。
○アトピー性皮膚炎の犬にケストース※※を与えると皮膚スコアが改善。※3
○乳酸菌の一種を与えることでアトピーの治療薬を減量、休薬できた。※4
○腸内細菌叢とアレルギー疾患は密接に関わり合っている。※5
他にも腸内細菌と病気との関係性を示唆する報告は多く、おそらく人間と同じように腸内細菌が犬や猫の病気に影響を与えている可能性は十分に考えられます。
アトピーは治ることがない病気で、最近は副作用の少ないお薬なども出てきて長期的な服薬のデメリットは以前に比べ減ってきているとはいえ、極力少ない投薬で済むことが望ましいことに変わりはありません。
ワンちゃんでは、まだまだメジャーな健康法としては広まっていませんが、アトピーをはじめ多くの病気の予防に腸活は大きな可能性を秘めています。
腸内細菌叢と腎臓病
腸内細菌叢は宿主にとって栄養面や免疫制御など種々の有益な機能を果たしているため,その破綻はさまざまな疾患の病態に関与しています。
近年、腸内細菌に関する研究は飛躍的進歩を遂げており,腸疾患以外にもさまざまな臓器の病態との関与が次々に報告されています。
腎臓病との関連も例外ではなく,腸内細菌叢および腸管機能はその病態に深く関与することが知られており,腸管と腎臓の臓器連関である「腸腎連関」が注目されてきています。
短鎖脂肪酸と腎臓
腸内細菌による代謝は体内における代謝物分布にも大きな影響を与えます。そのため,腸内細菌叢の有無や組成の変化によって血中濃度が大きく変化するような代謝物も数多く存在し、腎臓病の病態に正負両面から関与することがわかってきています。以下はある論文からの抜粋です。
腸内細菌由来代謝物のうち,短鎖脂肪酸は腎臓病の病態にとって保護的に作用する可能性が報告されており,一方,腎臓病の病態に対して有害性を示す代謝物の代表例は,インドキシル硫酸をはじめとする尿毒素類です。
腸内細菌叢のうち炭水化物発酵菌は,難消化性の食物繊維を大腸内で分解することで短鎖脂肪酸(酪酸,酢酸,プロピオン酸)や乳酸などの有機酸を産生します。この腸管で産生された短鎖脂肪酸は腸管上皮のエネルギー源になるうえ,制御性 T 細胞の分化・維持など免疫制御にも関与します。
ヒトの慢性腎臓病(CKD)では腸内細菌叢の乱れの結果,短鎖脂肪酸産生菌が減少することが報告されており,マウスでも短鎖脂肪酸の産生が減少することを認められています。
この短鎖脂肪酸の産生低下は,腸管上皮障害やバリア障害などの腸内環境の悪化を介して慢性炎症の一因となり,腎臓病の病態に関与するとも考えられており、治療応用としては,短鎖脂肪酸の全身投与が腎虚血再灌流モデルマウスにおける腎障害を軽減させたことが報告されている。また腸管内短鎖脂肪酸の産生を増やすような高アミローススターチ食が,CKD マウスにおける腎内炎症を抑制するとともに腎障害進展抑制効果を有することが報告されている。このように,腸内細菌叢由来の代謝物は短鎖脂肪酸のように腎保護的な役割を担っている可能性がある。
このように、現在では根本的改善が難しい慢性腎臓病について、腸内細菌叢(特に短鎖脂肪酸)が解決のキーポイントになる可能性が示唆されています。
腸活にオリゴ糖の王様”ケストース”
ケストースは、オリゴ糖の一種ですが、”オリゴ糖の王様”とも呼ばれ、タマネギやライ麦などの我々が日常的に摂取する野菜や果物にも微量含まれている「希少な」糖質です。ケストースは、砂糖によく似たまろやかな味質(甘味度:30)で、耐熱性にも優れることから食品加工時の利便性が高い食品素材ですが、経口摂取後は消化されることなく消化管下部へと輸送され腸内細菌により選択的に利用されるため、プレバイオティクス(腸内細菌を育てる働きをする)となり得る条件を備えています。
他のオリゴ糖は、いわゆる悪玉菌と呼ばれる体によくない菌のエサにもなり、悪玉菌も増殖してしまいますが、ケストースは、腸内を悪玉菌が活動できない環境に変え善玉菌のみを増やすという作用があります。
また、ケストース以外のオリゴ糖類は「酪酸菌」を増やすことができないのに対し、ケストースは「酪酸菌」を増殖させて腸内の酪酸濃度を上げる働きがあります。
この酪酸菌ですが、最近とても注目されていて、「健康長寿」と関係していると言われています。酪酸菌は腸内で短鎖脂肪酸というものを生成するのですが、免疫担当細胞に働きかけ炎症反応をおさめてくれる等、免疫機能に好影響を与えてくれ、全身に好影響を与えます。逆に短鎖脂肪酸が減少すると、免疫機能に不具合が生じてしまいます。
(腸は最大の免疫器官と言われ、免疫に関わる細胞や抗体全体の約60%が腸に存在し、皮膚や脳といった消化器とは直接関連がなさそうな遠くは離れた臓器にも様々な影響を及ぼすことが近年わかってきています。ヒトでは全身の免疫力やアンチエイジング、(消化管とは関連のない)臓器の腫瘍や、認知症、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎などといった様々な全身の病気と腸内細菌叢が関連していることがわかってきています。)
では酪酸菌を摂取すればいいかというとそういうわけではなく、食事やサプリメントなどから取り入れた乳酸菌は「通過菌」と呼ばれ、定着することが出来ず、「数日で排出される」と言われています。ですので、単にいい菌を摂取するだけではなく、体の中でいい菌を増やすことが大切と言われています。
このような理由から、ケストースを摂取することで、ヒトでは体にとって様々な効果が期待できると最近注目を集めています。
具体的には。。。
・アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎の改善
(約70%の試験ボランティアがアレルギー症状の改善を実感)
・インスリン抵抗性の悪化を予防(つまり糖尿病の予防)
ケストースは、人間や犬の消化酵素(スクラーゼ)で分解されないずに大腸に届くので、吸収されず甘いのに摂取後も血糖値はほとんど上昇しません。インスリン抵抗性の改善効果に関する成果は 国際科学雑誌Nutrientsにも掲載されています。
・太りにくい体を作る
・肌の保水力アップ
・アンチエイジング
・感染症に対する抵抗力の向上
など、様々な効果があります。
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腸内環境は体の健康の基礎となり、様々な研究が進み今後大きく期待される分野です。
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「FK-23」は乳酸菌のエサとなることで、自分の腸内にいる乳酸菌を増殖させ免疫を高める働きがあり、腎臓のほか今までに感染防御剤(特許第2969017号)、全身の免疫を担う白血球減少治療剤(特許第3272023号)、毒性軽減剤(特許第3040699号)、抗腫瘍剤及びその製造法(特許第3040711号)、C型肝炎治療剤(特許第2712000号)など様々な効果が期待できる乳酸菌です。
有効成分:乳酸菌「FK-23」&ケストースでダブルのチカラ
上述のケストースに加え、乳酸菌FK-23も配合しております。乳酸菌は400種類以上ありますが、その中で動物の皮膚病で効果が証明されている菌種は2種類しかありません。
「FK-23」は東京大学などで犬における効果が研究され、米国皮膚科学会にて効果が報告されている数少ない乳酸菌です。
近年ではプロバイオティクス(善玉菌自体を摂取すること)とプレバイオティクス(善玉菌を育てる物を摂取すること)を併用した方が効果的といわれていることから、ダブルの有効成分としています。
動物の体を最優先に、完全無添加で製造しております。
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